派遣労働 ( interim )
フランスの「派遣労働者」の呼称は 「一時的(臨時的)労働者」 ( travail temporaire )。
* 基本的に「派遣労働者」と「正規(無期)労働者」の相違 (法律上均等待遇 が原則 ) が「期間の定めの有無」に集約されている為。
法律上均等待遇 =
就労期間中の賃金や社会保障などの労働条件は、派遣先企業内の同様職種・地位の労働者と同等の扱いを受ける。
フランスの労働契約は大まかに分けると次の二通りになります。
① 「期間の定めのない雇用契約」( CDI : Contrat à durée indéterminée )
② 「有期雇用契約」( CDD : Contrat de travail à durée déterminée )
* 派遣労働者は後者のカテゴリーに入ります。
派遣という雇用形態が見られるようになったのは1960年代。
労働者派遣を規制する法律が制定されたのが1972年。
そして2008年にはフランスにおける派遣労働者数は労働人口の2.1%にあたる60万人強を占めるまでになりました。
派遣労働者の利用事由としては以下のものが挙げられます。
⑴ 恒常的業務ではないこと
⑵ 病気等で休んでいる社員等の代理要員
⑶ 一時的な増加業務 ( 季節労働等 )
⑷ 本来的に一時的な業務 ( 船舶修繕、引越、映画制作等 )
⑸ 雇用政策上の措置 ( 失業者の求人の促進等 )
そして
派遣期間は 上限 18ヵ月、更新1回可能。
( ただし、他の雇用者の代理要員及び安全 確保のための緊急作業は9か月 )
派遣禁止業務としては
⑴ ストライキ中の労働者の代替 等
⑵ 危険業務 ( 例:特定の化学物資が放出される業務、核物質・放射 性物質のある現場における業務等 )
派遣期間は1週間や2週間単位の短期契約が多 数を占めているのは 「 不安定雇用手当制度 」 が影響しているのではないかと。
「 不安定雇用手当 」 は、派遣労働者等に対するセーフティネット。
: 契約終了後、派遣先との間で期間の定 めのない労働契約が結べない場合及び次の派遣先が決まっていない場合には、派遣元から 派遣期間中に支払われた給与総額の 10 %に相当する手当が不安定雇用手当として支給さ れます。
( また失業保険は2009年1月より、過去28ヵ月に4ヵ月以上労働した人が受給できるようになっています。)
フランスの派遣労働者の特徴は
グループA : 労働市場に新規参入する若者
グループB : 資格がなく他の仕事に就くのが困難な労働者 ( 年齢は様々 )
グループC : 専門的な集団で派遣労働という職種を自ら希望して選んでいる人々
また以下の様にも分類できます。
㋐ 単純労働者のグループ : 資格がいらないが、労働条件が厳しい。
㋑ 有資格労働者のグループ : 高学歴で資格を有し、職業上の技 能も有している
* 例 : 医療分野における派遣労働者等。
派遣労働のコスト
派遣先 は
・ 本来正規社員に支払うべ き報酬 ( 均等待遇原則 )+派遣会社に払う派遣料金
・ 派遣労働者が期間の 定めのない雇用契約 ( CDI )に移行できない場合の不安定雇用手当の費用
を負担しなければいけません。
そのため、企業にとり派遣労働者を雇うことはコスト的には高き、加えて利用事由による制限もあるので安易に人件費の抑制のためだけに派遣労働者を使 用することはできません。
ただ、コストが高くても 有期労働者という点で、正社員よりも柔軟に雇うことができる為、現在も雇用が進んでいるというのが事実です。
≪ 地方圏別での派遣労働者への依存率 ≫
依存率の高い所
フランス北部のピカデリー( 5.5 % )
オート・ノルマンディー ( 5.4% )
オート・ノルマンディーの南に位置するサントル ( 5.1% )
東部のフランシュ・コンテ ( 5.4% )
依存率の低い所
南仏 ( ラングドック・ルーションとプロヴァンス・コートダジュール) ( 3.0% )
パリ首都圏 ( イル・ド・フランス )( 2.8% )
パリ首都圏を除くと、派遣労働者の依存率は、北高南低の傾向が見られます。
また派遣労働者への依存は、工業(主に製造業 )及び建設業において多く見られます。
* 賃金労働者のうち工業部門に雇用される者は、全産業の22.8%を占めるに過ぎないが、派遣労働者では全体の47.3%が工業に属している。
ちなみに派遣に限らず労働者にとっての大切な窓口、雇用局は日本の公共職業安定所(ハローワーク)に該当するサービスを提供する組織で 、提供しているサービス内容は、職業紹介と失業手当の支給、各種求職支援となっています。
ここでは職業訓練も斡旋されています。
理由としては、 若年者が労働市場に参入する際、まず非正規雇用というプロセスを利用 することが多い為。また、資格や学歴のない失業者を労働市場に戻す為にこの様なサービスを行っています。
追加的なサービスとしては社会的(福祉的)サービス、医療サービス、住宅サービス等が あります。
特に医療サービスについては、雇用局へ求職者登録を行う際に、健康上問題がある 場合は産業医による診断が義務付けられているため、重要なサービスとなっています。
以前は、
職業紹介 = 国の機関である公共職業安定所 ( ANPE )
失業保険 給付 =
・ 失業保険の管理 = 労使により設立されていた公益法人である全国商工業連合 ( UNÉDIC )
・ 保険料の徴収 = 地域組織である商工業雇用協会 ( ASSÉDIC )
とカテゴリーが分類されていましたが、2008 年2月 13 日の公共職業サービス組織の改革 に関する法律により、ANPE と ASSÉDIC が正式に統合し、雇用局(Pôle-emploi)となり 失業給付と職業紹介の機関が一元化されました。
以上、独立行政法人 労働契約研究・研修機構 などから抜粋させていただいたのですが、どうでしょうか、、、。
フランスにおける労働の仕組み、何となく分かっていただけたでしょうか。
ちなみに私は派遣労働者として工場で働き始めて2年半ほどになります。
一回の契約期間は2~3ヵ月程。期限が切れる前に契約を結び直す、、、という事を繰り返しながらこれまできています。
工場の閉まる夏の1ヵ月間は契約を結ばないから「18か月を上限に契約更新は1回のみ」というのに当てはまらないのですね。
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