toucher le peau du singe 猿の肌を触る


'' toucher la peau du singe ''  トゥシェ  ラ  ポウ  デュ  サンジュ 

 

先日職場で耳にした言葉。

フランスに住み始めて10年以上が経ちますが、初めて聞いた言葉。

直訳 すると 「猿の肌を触る」。
他人の頭を触りながらこの言葉をいう事で自分に不幸が降りかかってくるのを避けるという意味があるのだそう。


この言葉を言いながら私の肌を触って来たので

「 アジア人=黄色人種=猿!? 」と、また差別か!!と思ったのですが、人間の元々の起源は猿だからとの事で、今回は私が勘ぐり過ぎたようです。

それなら '' toucher du bois ''  トウシェ  デュ  ボワ ( 直訳 : 「木を触る」 )  と言いながら木製の物を何か触るのと一緒の意味?と聞くとこちらの表現は知らないとの事(何人かに聞いても同じ答え)。
以前住んでいた所の人達は皆こちらの表現を使っていたのですけれども。

彼らからは「山 ( = 木 ) の多い地方だったからじゃない?」などと的を得ているのだかいないのだか分からない答えが返ってきたのですが。

私の彼 ( もちろん両方の表現を知っている )に言わせると、職場の同僚の多くはこの小さな地域すら出たことのない人達だから自分たちの周りの世界しか知らないんだよ、といつもの様に苦笑いしていました。

また  
" croiser les doigts "  クロワゼ  レ  ドワ
( と言いながら両手の人差し指と中指を交差させる ) もほぼ同じような意味に使われますが、こちらはより健康や宝くじに当たる、、、などの願いをかける時に多いように思われます。

結局一番古いのは toucher du bois 。

なんでも ペルシアやエジプトの栄えていた古代から ( 紀元前11世紀 ) 既に使用されていたようで、「木を触る」という事は火の神Atarの保護の下に置かれる事を意味していた様です。
それなのでなかなか木が見つけられない時に備えて鞄の中に木の破片を入れて持ち歩き、何かある毎に禍が降りかからない様触っていたとか。

中世でもやはりキリスト教徒たちが逆境、苦難から逃れる為に「木の十字架に架けられ自らを犠牲にしたキリスト」から「木を触る」という言葉を使用していたみたいです。

 

toucher la peau du singe  はフランス北部でしか使われていない様です。