パリと言えばやはりこういった風景でしょうか。
義兄 ( 私より年下ですが ) は仕事だったので彼と二人でパリ観光をしてきました。
昨日は曇り時々雨という天気だったのですが、今日は晴れ間も見える暖かな一日となりました。
パリ市内に入るのは何年振りになるでしょうか。もしかしたらゆうに10年以上経っているかもしれません。
当時よりもさらに治安が悪化しているパリ。
義兄家族から前日に以下の様な注意を受けました。
まあ今まで基本的にやっていた事なのでそう身構える事はありませんでしたけれども。
* 観光客に見えない様に振る舞う
・ 特に駅構内で、事前にある程度乗降駅等の情報を頭に入れあまり路線地図などを見ないようにする。
* 電車内で出入り口付近には立たないようにする
・ ドアが閉まる寸前に物を盗まれ、そのまま逃げられてしまう危険性が高い為
* 鞄は肩から斜め掛けにするようにする
・ 通り過ぎがてらにひったくられる危険性が高い為
* 最新の携帯電話などは出来るだけ人前で利用しないようにする
また、RER ( パリ高速鉄道 ) に乗ったら進行方向の右側に座るようにして外を見てみると良いよ、と甥っ子に言われたのですが。
何でもパリ ( に限らずフランス全体)の今の問題が良く見て取れるとの事。
なるほど、暫くすると路線沿いに写真の様な光景が続くのが目に入ってきました。
これはロマと呼ばれる人たちのキャンプ施設。
ロマとは昔から放浪、移動生活を習慣としている人々の事。
ジプシーという呼び名が日本では馴染みがあるかと思いますが、それが差別用語となった今ではロマと呼ばれるようになっています。
このようなキャンプがフランス国内には300以上あるそうです。
EUが域内の人の移動を認めているので以前は特に東欧諸国に留まっていたロマ人達が次々に豊かさの期待できる西の地にやって来るようになっているのです。
* シェンゲン域内(ヨーロッパの国家間で国境検査なしで移動できる区域)の移動の自由をEUが承認
それでも法の定める3ヵ月以内に職に就けなかった者は「不法滞在者」とみなし、先のサルコジ政権ではキャンプの強制撤去や現金の移住費用を与えて「自主送還」という形で国外退去させる等の政策を取っていました。
* 「帰国援助費」 : 自主的に帰国する人々に飛行機のチケット代+大人は300ユーロ、子供は100ユーロを支払うという帰国奨励策。
放浪するロマ人はえてして「犯罪者の温床」とみなされています。
その歴史は長く、ルイ14世時代にもロマ人男性はガレー船送りに、女性と子供は髪を剃って救済院に強制収容されていたようですし、第二次世界大戦中には、ナチスによって、ユダヤ人と共に強制収容所に送られ、劣等民族として断種手術を施されたこともあったそうです。
『 定職につくことが出来ず、国境を越えて流浪の旅を繰り返すロマ人たちは、少しでも豊かさの期待できる地へやってくる。しかし、彼らがつける職はなく、定住の地も与えられない。結局、不況などを契機に社会的軋轢が高まると、出身国への強制送還措置などが実施されてきた。人口比でロマ人が多いルーマニアやブルガリアなどに追い戻される。しかし、そこにも永住の地はない。定住の地が保証されないために、教育を受ける機会も十分ではない。安定した職業に就く者も少なく、現代の産業が要求するような熟練も身につかない。建築現場での下働き、鍋釜の修理、刃物研ぎなどの簡単な仕事だ。それもしばしば歓迎されない。結局、彼らはこれまでのように放浪の旅を続けることになる。何ら進歩のない同じことの繰り返しが続いてきた。 』 ( 某ブログより )
こういった事情を考えると彼らに同情もしてしまいますが。
難しいですよね。
ロマ人の全てが悪いわけではないのはフランス人誰でも承知しているのでしょうが、
実際にパリにおける窃盗犯罪の5人に1人、さらに子供の窃盗犯の4人に1人はロマであるという統計などが出されてしまうと(2010年8月)そういった目で見ざるを得ないのかもしれません。
さらに自らも不況の波にもまれているというのに、彼らの生活保護の為、或は先にも述べた「帰国援助費」(家族に会う為などにこれを利用し、しばらくしてから再びフランスにやって来る人たちも少なくないとか)などの為に自分達の税金が使われているという事実に不快感を示す人が多いのは分からないでもありません。
しかし駅構内、電車内に出没するロマ人少女の窃盗グループは今では当たり前の話になってしまっていますし、赤ん坊を連れた女性の物乞いなども都市では珍しくありません。
少年少女達によるこの様な窃盗などの軽犯罪はその場での注意しか出来なかったりするので、大抵は裏で彼らを操っている大人がいるのですよね。
上記の某ブログ抜粋にもあるようになかな解決しがたい問題です。
と、そんな事を考えているうちにパリ市内に電車が到着しました。
さてパリ観光といきましょうか。
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